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NPO法人の監事について



監事とは…


NPO法人は、設置するにあたって理事を3人以上、監事を1人以上置かなければなりません。それぞれの役割は、以下となります。

 

・理事の役割-「法人の業務」を執り行う

・監事の役割-「理事の執り行う業務」や「会計」の監督

 

いずれの任期も、2年を超えない範囲で定款で定めることとされています。


監事は誰でも就任できるのか?


答えはNOです。以下に該当する者は監事に就くことはできません。

 

理事や職員

なぜなら、監事は理事の業務や会計の監督をする立場だからです。

ただし、監事が「社員(*1)」を兼ねることは可能です。また、理事が社員や職員を兼ねることは可能です。

*1-NPO法人では議決権を持つ正会員ことを「社員」と称します。

 

欠格事由に該当した者 

特定非営利活動促進法第20条各号(欠格事由)に該当する方は、NPO法人の役員に就くことはできません。例をあげると、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者や、暴力団の構成員である者などです。

これは理事ともに共通事項です。

 

特定非営利活動促進法第20条はこちらにてご確認下さい。⇒欠格事由 


未成年は就任できるのか?


答えはYESです。

 

未成年は、法定後見人(親権者)の同意が必要ですが、理事にも監事にも就任することは可能です。 


成年被後見人について


では成年被後見人はどうでしょう?

じつは、これまで成年被後見人と被保佐人については、役員の欠格事由として、特定非営利活動促進法第20条1号に挙げられていました。しかし、令和元年12月14日法改正の施行によりその文言は削除され、かわりに「精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」との条が追加されました(20条第6号)。

これにより役員に就こうとする者が成年被後見人等であるというだけで、欠格事由に該当することはなくなりました。成年被後見人等の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について見直しがされた結果ですね。


監事は資格保有者でないといけない?


答えはNOです。

法律上、税理士や公認会計士といった国家資格保有者である必要はありません。

ただし、冒頭で述べたように、監事には「会計の監督」という大きな役割があります。つまり事業報告書をチェックする立場であるなら、最低限の簿記の知識は必要と思います。なぜなら、簿記の知識が無いのに事業報告書を見て理解できるのか?と思うからです。

実際に、計上ミスに気付かず最終計の部分だけチェックしたのであろう事業報告書を目にすることもあります。


事業報告書は会社の顔です


NPO法人様は、毎年事業報告書が所轄庁のホームページに掲載されます。

これは私見ですが、所轄庁は事業報告を受けても勘定科目一つ一つ照合することは無いと思っています。

そうなると、上記のような計上ミスもそのまま公開されてしまいます。これでは、うちの法人は役員が機能していませんと公表しているようなものです。

うっかりミスであればあるほどです。これでは、法人としての信を失いかねないですし、寄付金を受けたり助成金の申請を受けるとき不利になる恐れもあります

だからこそ国家資格保有者である必要はありませんが、監事を選出する際は、簿記の知識くらいは求めた方がよいと思います。 


最後は少し厳しい書き方をしてしまいましたが、監事について少しでもおわかりいただけましたら幸いです。